いやはや、あっという間の3日間だった。
あるお笑いの大会に出演するための帰阪だったのだけど、色んなことを考えて、また、色んなことを思い出した3日間でもあった。結果は2回戦で敗退。ベストは尽くしたと思う。だけど2回戦でダメだった。だから、なんて表現すれば伝わるのだろう、悔しいというよりはポーンと霊魂が目の前に抜け出たように思考が鈍く、今もまだ落ち込むことができずにいる。大会で負けた時、今までの僕なら「違うネタをやっていたら」「最初のセリフをもっと変えていれば」「出順が違っていたら」みたいな後悔のタラレバを1年は引きづりながら次の大会まで過ごしていたはずだ。だけど今回は、落ち込むことさえできずにいるのだ。
出順は、一番難しいとされるブロックの1番最初だった。そりゃそうだ、どこの誰かともわからないフリーの芸人を良い出順には置かない。だけど、その出順なんて物ともせずに圧倒的なウケを取ることができていれば、審査員から倍以上の評価が得られる出順だったとも言える。そして僕は、この出順をプラスに変えることができなかった。
14時からの出番を、朝9時過ぎには大阪に着いて、梅田にある建築現場のだだっ広い駐車場で、今まで何万回練習したかもわからないとっておきの2分ネタを100回以上練習して最後に頭に叩き込んで本番に臨んだ。そして出囃子が鳴ってステージに立って、下げ囃子が鳴ってステージを終えるまでの約2分の出来事、僕は何も覚えていないんだ。僕が覚えていなくても結果発表が教えてくれた「不合格」。ステージから降りた直後の僕に知人が笑いながらこう言った。「なんで目、血走ってんねん 笑」 その言葉で初めて気付く、競走馬でいうところの入れ込み過ぎだったというわけだ。僕はあまりにもこの大会に賭けすぎていた。頭でっかちな僕にはお似合いな結末。
帰りの楽屋廊下の先に、大阪では誰もが天才と言う若干21歳のピン芸人が後に出番を控えて、壁に向かってブツブツと精神統一しているのが見えた。この子は18歳の時に初めてこの大会に出ていきなり準決勝まで行った。ネタはオーソドックスタイプではなく彼しか思いつかないようなトリッキーなボケを連発する「センス型」で、信じられないような爆笑を取る。いつ売れてもおかしくないと本当に誰もが言っている。帰り際、そんな彼を見かけて31歳の負け犬はどう思った? 羨ましい?アイツみたいになりたい?お近づきになりたい?アイツの脳みそ半分分けてほしい?
「俺のほうがすげーんじゃ! 今に見てろよ!絶対負けへんからな!」
俺はな、今は何もない男だけれど、評価されてる人間の足を引っ張ったり、妬ましい目で相手の失敗を願うようなカスと違うんだ。自分がやるしかない。俺は俺を燃やし、才能ある奴より8万倍努力して、とんでもなく上に行くからな!! メラメラと闘志を燃やし、ボウボウと燃えた目で見ていると、彼がくるっと振り返って俺と目が合った。彼は俺を見て一瞬「誰だっけ」という表情をしてから丁寧にペコッと軽く頭を下げてまた壁に向かった。 俺は会場を出てから叫んだ。
「(才能あるうえに)良い奴なんかい!!!!ちきしょー!!!!」
というわけで出直しだ。24時間おもしろいこと、たくさん考えるんだ。たくさんやるんだ。たくさん作るんだ。たくさん書くんだ。
・・・しかしあれですね、ずっと欲を抑えて自分のことを最優先に考え、彼女とも別れ、(今もだけど)自分だけの勝手な世界に閉じこもっていたから、たまには、女性とイチャイチャなんかしたいものですね。そんな気分です。
えーー、、というわけで、僕に連絡先を知られてしまっている女性の皆さん。本日1月18日から2月18日くらいまでの1ヶ月の間で、僕から連絡があった場合、限りなく100%の割合で性的な関係を求めております。ご都合が悪ければ着信拒否、LINEは既読スルー、または完全に縁を切る等の対応でよろしくお願い致します。
当方、酒に酔わして抱くといった古典的で姑息な手段を主に使います。
今年も宜しく。
以上 松本時代(ジェダイ)