第30回

 

「けっこう飛ぶから気をつけろよな」 そういって友達からもらった竹とんぼ。

もらった時の袋に入ったまま一度も出すことなく、1年ほど洗面台の下に置いていました。というより適当に放り込んだままずっと忘れていました。昨日、新しい歯磨き粉を出す為に洗面台の下の扉を開けた時に久しぶりに袋を発見。「あ、こんな所にあったんだ・・・どれ」 ようやく袋から出されたそれは、どこからどう見てもただの竹とんぼ。手に取ってなんとなく、ただなんとなく、何も考えずに思い切り右手と左手を前後に擦りました。竹とんぼは勢いよく空に舞い上がり、天井に小さいながらも立派な穴を開けました。

『けっこう飛ぶから気をつけろよな』

た、たしかに・・・

もうすぐ引っ越しするのに・・・

ずっと忘れたままで・・いたかった・・・

 

第29回

 

一つ何かを得るには一つ何かを捨てなくてはならない。本当にそうだと思います。二つのことを同時に考えることなどできないのに、目移りしてあれもこれもと同時にいくつも抱えようとするなんてバカです。それに固執、執着は自分の幅を狭めるし、自分が大事にしているものなんて(それがどれだけ高価なものであったとしても)他人にとっては石ころくらいの価値だったりするもんです。だから僕は自分のために、今自分にとって大切なものをもう一度見つめ直す必要があるんだ!一歩でも前に進まなくちゃならないのだから!・・・今日の朝突然そう思った僕はクローゼットを両手で勢いよく開けて、大切なアウターとフリースをゴミに出してやりました。

東京。窓の外はしんしんと雪。

 

フリースを捨てたことを後悔しています。ただただ、寒いです。