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第12回

ドラマ「王様のレストラン」でシェフ役の山口智子が言うのである。

「男が夢の話をする時って、、女を口説いている時でしょう?」

ギャルソン役の松本幸四郎は図星であるのだが表情ひとつ変えずに夢の続きを話す。

彼女はそれを優しく笑顔で受け止める。

フォギーがかかった光を帯びた山口智子が最高に美しかったことを31歳になった今でも僕ははっきりと覚えている。

あ、本日31歳!イエーイ!

ーーーーー

 

高校2年の時、ひょんなことからドヤンキーの友達ができた。

性格も遊ぶところもまったく違うはずなのに、(彼は高2ですでにキャバクラに通っていた)僕らは妙にウマが合って、互いの不安な将来を話し合えるほどに仲良くなった。まったく田舎のヤンキーというのは、どんな独自のルートを持っているのか隣の隣の街のかわいい子の最新情報まで仕入れているもので、しかも田舎ではヤンキーというは異様に!モテるのだ。 現にそいつはその時、車を乗りまわす16歳のフリーターのシンナー吸ってる女の子(どんな女だ!)を含む、6人ぐらいと同時に関係を持っていたくらいだ。

で、そいつが、ある日「マッちゃんも彼女くらい作れよ!」と言い出して市内で一番頭のいい高校で一番かわいい女の子を紹介してくれるというのだ。「なんて名前?」「○○ちゃんっつーんだけど」「△中出身の○○さん!?知ってる!!一つ年下の!?マジ!?」イモ野郎の僕でも知ってるくらい有名なかわいい子だ。だいたいなんでコイツ、○○さんを知ってるんだ… まぁいい!!超ラッキィイー!!!!

・・・

話は飛ぶ

後日 ヤンキーの携帯に○○さんからこんなメールが

 

「紹介してくれた松本さん、自分の話したいことだけ話して、なんか急に夢の話とかしだして、スッキリしたのか「もう遅いから帰ろう」とか言い出してママチャリ立ち漕ぎで笑顔で帰ってったんだけど!笑   ヤバすぎ笑 」

 

ニヤニヤしながらヤンキーからそのメールを見せられた僕は次の日学校を休んだ。休んでやった!

しかし、授業が先に進んでいるのが不安でその次の日しっかり登校。

しかし、腹の虫が治まらない僕は

後日

ブスを抱いた(なんじゃそら)

 

というわけで、あれから特になんにも変わらず31歳になってしまった僕だけど、相変わらずカスな僕だけど、変わらず皆さんよろしくお願いしますね。

31歳は、おもしろいこと、たくさん計画中なんだ!

 

 

 

 

第11回

 

「チッ この手法はやり尽くされてるっての」

 

 

美術館に行ってきた。

若手写真家の日本一を決めるコンテストの展示会を見に行くためである。

僕も写真の世界に(一応)いる身としていつでも、若い作家が普段考えていることや、ブーム、制作にかけるエネルギーを知って感じて吸収して、自分の作るものへとアウトプットしたいと思っているのだ。それと同時に僕は美術館で展示を見る人をジッと見るようにしている。美術館に来る人はどういうふうに作品を見て、どういう感情を抱くものなのか、直接肌で感じたいのだ。

その日、展示を壁一面見終わって折り返して反対側の壁の展示を見ようと思った時、壁の端にある女性作家の写真展示を見ている男が2メートルは離れた僕にも聞こえるくらいの声量で

「チッ この手法はやり尽くされてるっての」

はっきりとそう言ったのである。

この男、そのコンテストに落選した写真家なのかただの客なのかはわからないがどうやら頭の中でダメ出ししていてしかも考えていることが声に出てしまっているようだ。

しかも挙動不審にキョロキョロとしながら、手はワナワナと震えているのである。

面白いやつ見つけた。

僕はこのエレキテルに付いて展示を回ることにした。

エレキテルはその日計4回、心の声を外に漏らした。

 

「チッ この手法はやり尽くされてるっての」

「知ってるし。シンディーシャーマンだし」

「その写真はもう古いんだよ」

「だからそれじゃダメだっつの チッ」

 

そしてなぜか最後まで展示を見ずに震えながら小走りに美術館を出て行った。

完全にイカれている。

しかし結局僕もエレキテルに意識を集中しすぎてあまり後半の展示を覚えていない。同類。

そしてコンテストはエレキテルがダメ出ししまくっていた女性写真家が優勝、賞金100万円と若手日本一の称号を手にした。

 

エレキテル、、、無念。

 

帰り道は雨がすっかりあがり、空がとっても綺麗だったので星野源の「夢の外へ」を大声で歌って帰った。

 

 

 

 

第10回

僕は何でも記録する癖があって、自分がその時その時で思ったことは日記のようにして毎日メモしているし、自分がその日着ていた服は全て、何を着ていたか、どこのブランドのサイズは何だったかまで全て記録して残している。お笑いライブに出た映像や音声も可能な限り録画して全て残している。(昔はセックスまで録音していたが、昔の彼女に激怒されて全てデータを消されてしまったので今は残っていない)

そうして記録するすることで自分がどういう経緯で今こうして生きているのか、どれだけ成長できたのか、どれだけサボったのか、自分はどれだけ頑張れる人間で、どれだけ怠け者で汚い部分があるのか、全て受け止めたいし忘れたくないのだ。

昔組んでいたのバンドのライブを録画したDVDを見ている。

そう、かつて僕はバンドマンだった。

 

14年前の僕が客席に向かって叫んでいる

「お前ら暴れないのか暴れることができないのかどっちの人間?じゃあ次の曲!暴れろー!!!」

 

12年前の僕が叫んでいる

「お前ら、夢を持つことに誇りをもてよ!!オラー!!」

 

あきらかに若気の至りで調子に乗って、サングラスをして金色の髪をした僕が何の根拠もない人生論を恥ずかしげもなく自信満々に叫んでいる。僕はバカだった。自分がしっかりとした信念をもって生きていると思い込むことでしか自分の内にあるものを表現できなかったのだ。「この人、信念をもった人だ」と思われたくて考えた結果が「僕は信念を持っている!」と叫ぶだなんて、芸がなく実に浅い。本当は自分には何もないくせに、自分だけのために、自分を守るためにわざわざステージに立って「僕は何かを持っている!」と少ない客に訴えるのってなんというか、惨めだ。

 

写真1

(惨めな男 )

 

そして

 

10年前の僕が客席に向かってこう言っていた

「 みなさん、すいませんでした。最後の曲、聞いて下さい。「つぐない」 」

 

・・・

いったいこいつに何があったんだ 笑

 

自分のことながら笑ってしまった。忙しいやつだ。

 

毎日精進してすこやかにほがらかに誠実に頑張っていきます。

 

今月31歳。