第9回

 

「はい、ナス炒め定食お待ちどうさま」

 

店主であろうおじいさんは手をプルプルとふるわせながら、モツ炒め定食を注文した僕の目の前にそれをカタリと置く。左、そして右と他の客に目をやると、左はサバ焼きをアテに冷酒をちびちびやっているジジイと、右は食事を終えてそろそろ帰ろっかと相談しあうジャージのカップル。

どうやら僕で間違いないようだ。

もし、僕が「あ、すいません自分モツ炒めっす」と言えばこのナス炒めはどうなる?

まさか「オッケーそれじゃあ私がいっただっきまーす!」とジジイは言わない。

きっと9割の確率でゴミ箱行きだろう。

せっかく作ったこの料理は僕のたった一言でゴミになる。

 

携帯で「ナス 栄養」と調べる。

検索・・・主成分は糖質で、ビタミンはA、B1、B2、Cをごく少量含む。抗酸化の作用とともに、血栓ができるのを防いだり、目の疲労を改善する効果。

まぁ、、一人暮らしは野菜が不足しがちだし、な。

しぶしぶぱくぱく・・・

 

食後

「お会計お願いします」「はいどうも。850円です」

モツ炒めは750円。

おいおい、間違えられた上に値段もナス炒めのほうが高いのかよ。しかし、今さらモツ炒めだったとは、、いえない。「ありがとです、また来ます」と言って店を出た。

 

帰り道で思う。

僕はいつからこんなに弱くなった?

 

ここでこの動画を見てもらいたい。

 

 

歌っているのは12年前の僕。

そう、18歳の僕は

「おいお前ら!行くぞ!ゲットバックソウルゥー!!」

パンクだった。眉毛を剃り、鋲のついた衣服をまとい、「自分の弱さをぶち殺せ!」などと叫び狂っていた。

 

それがなんだ、30歳を越えて店員の注文の取り間違いすら訂正することすらできないのか。

おい、松本、今こそ本当の自分を取り戻せ!自分の弱さをぶち殺せ!!そうだろ?

いや、待てよ。ジジイに「モツ炒めだコラァ!!」と叫ぶ姿が本当の自分か?

確かにヤツは注文を聞き間違った。しかしヤツはあんなに手をプルプルとさせながら、しかしそれは芸術と言える熟練の手つきでナス炒めを作り僕の元へ運んできてくれたじゃないか。その行為や姿勢に罪はないはずだ。それを批判することが正義か?いやそんなはずがない!!

 

つまり、

 

このままでいい。

 

弱い自分も本当の自分。

 

 

第8回

 

いつだったかも忘れるほど小さい頃、夏の夜、親父がドングリの木を何度も蹴って落ちてきた大きな虫。親父がそれを手に取り僕に見せた。

「ミヤマクワガタ。どうだ、かっこいいだろ?」

「か、かっけー!!!」

 

あの日から毎年かかさず夏は山に登ってる。

30歳になって、ずいぶん捕まえるのにも慣れてきたよ。今年は特に大漁だった。

 

写真 1

 

写真 2

 

写真 3

 

そして思いがけない出会い

林の中からガサガサと音がした。友人と僕は目を合わしツバをゴクリと飲み込み身構える。持っていた懐中電灯を武器として使おうと振りかぶる。

すると

 

写真 4

 

ウリ坊が3匹

友人とキョトンと目を合わしどちらからでもなくニヤリ、すぐに僕らはギャハハと大きく笑いだす。そして友人がハッと気付いてあわてて言う。

「近くに親がいたらヤバい!逃げろ!!」

「ギャアア!!」

二人は走って山を降りた。

 

 

 

・・・田舎が好きだ。僕は都会で暮らしてる。田舎に戻るのは嫌だ。なぜ?ここには何も無い。でも何かあるから帰るし毎年登ってるんだろ?

うん、だから、たまに帰る田舎が好き。

欲張りだね。

 

よし、明日からまた頑張ろう。

 

 

第7回

 

花火。

1万発 5000万円 〜 1億円もかかるのだそう。

皆が見ているその前で、ものの30分で1億円が消えるだなんてちょっとした事件だ。

そして東京都の十分の一が集まるだなんて、皆、心のどこかで事件を欲しているんだ。

オラオラ系のニーちゃんも、文化人きどってるイカれた専門学生も、芯の部分じゃ一緒だ。

事件が見たい。ヒュー

ドンと打ち上がる事件が。

 

なにが言いたいかって、花火見たいけど一緒に行く相手がいないひがみだ。

花火は誰でも見れるし、見る権利がある はずだ。

こんなクソアパートでエアコンの電力ケチって汗ダラダラ流しているこの僕にだって見る権利が。

花火見たい・・・夏感じたい・・・彼女・・いない・・

アパートの窓を開ける。

見えるのは、我が家の光を遮る4階建てのマンション。築浅。

 

こんな日に限ってアルバイトは休みだ。

パソコンをポチっと。

 

「雨天により東京湾花火大会 中止」

 

 

よし。

 

その意気だ。

 

雨 全てを流せ!

 

そして僕に彼女ができたら

 

雨よ

 

 

止め!! (都合がいーな)

 

 

第6回

 

あー・・・やりずれー

 

なにがってブログがとにかく書きずれー

 

「3億円ブログ」

2年で3億円稼ぐという無謀な野望のために数々のバカな挑戦を楽しんでいただこうと始まったこのブログ、非常にやりずらいよまったく。毎日金のことばかり頭によぎり実に不健康。それに、まだほとんど誰にも知られていない僕のクソ以下の部屋と社会との唯一の接点であるブログ。言いたいことも聞いてほしいことも実はたくさんあるのに「3億円稼ぐ」というコンセプトが邪魔をしてろくに記事も書けやしねー。そんで「3億円稼ぐ挑戦」・・・なにも頭に浮かばねー。

言い出しっぺは誰だ。俺だ ぎょえー

だいたい3億円まで残りいくらかをリアルに記述するってことはアルバイト以外でカメラマンの今回のギャラはいくらだとか詳しく書かないと成立しないじゃねーか。そんなの書いてるのバレたらただでさえ少ない仕事さらに減るっつの。

 

やめだやめだ やーめた!!

もう普通にブログ書く!

 

タイトルは・・・いいや、「3億円ブログ」のままで。

「3億円くらいの価値のあるブログでーす」とかそんな楽でテキトーなコンセプトに変更だ。

いいんだこんなもの後付けで。

 

やったー途端に楽になったー

これからいっぱい更新するー

写真もアップするー

今日の晩ご飯とかー

今日のコーディネートとかー

海の写真とかー

友達の写真載せて「一生親友」とか書いちゃうー

 

写真

 

きゃわたん

 

 

第5回

 

おそるおそる、怪しまれないように代官山蔦屋書店の駐車場をさぐる男がいた。

男はそこに金を拾いにきたのだ。

3億円

鼻歌まじりの余裕の表情でその実、周囲を警戒しながら慎重に高級車と高級車の間を

「あれ俺クルマどこに停めたっけなぁ〜」

なんてしらじらしく、

そして粘着質なギラギラとした目で

 

そして!

 

あった!!

 

10円玉だ!!

 

男は最高時速115キロとも言われるチーターのように四肢をありえない早さで動かし勢いよく後ろ足をけり、10円玉におおいかぶさり一言

 

「これ僕のだかんねー!!!!!!!!!!」

 

・・・そして気付く

 

いったいなにをやっているんだ僕は・・・

 

 

真面目に働こう・・・

 

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松本時代の3億円ブログ  あと710日 残り300,000,000円

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